【ネタバレ注意】S.E.A.小説『Shinji Takahashi…』の感想とか解説とか考察とか

S.E.A.

ここからは、読んでいて気づいたところとか面白かったところを、ストーリーの流れに沿って語っていきたいと思います。ネタバレがっつりしてるので注意です!

多分見逃している小ネタもあると思うので、僕が書いた以外にも気づいた方いたらコメント欄で共有してるとありがたいです。

ロストリバーアウトフィッターズ

冒頭でいきなり「ロストリバーアウトフィッターズ」というお店が登場して興奮しました!言うまでもなくディズニーシーのロストリバーデルタに同名のショップがありますよね。

主人公のシンジと叔母のユイが、旅先で収集した工芸品などを販売するショップです。このお店はアフリカで開かれているので、ロストリバーデルタにある方とは別物(ロストリバーデルタはメキシコ)ですね。とはいえ良いサプライズでした。

ヘンリー卿(カバ)

叔母のユイは、ザンベジ川でよく見かける三匹のカバに「ヘンリー卿とその二人の妻」と愛称をつけて呼んでいました。

「ヘンリー卿」とは、ヘンリーミスティック卿のことでしょう。20世紀頃のS.E.A.主要メンバーの一人です。

S.E.A.が実在することをユイは知らないはずですが、S.E.A.関係なくヘンリー卿は超有名人なのでしょう。めっちゃお金持ち、かつ多才でしたからね。

というか奥さん二人いたのかな…?

コアトル

主人公のシンジは物語の冒頭、市場で「Coatl(コアトル)」と呼ばれる彫像を見つけます。コアトルは羽の生えた蛇のような外見をしていました。このコアトルが物語では重要なキーアイテムとなっていきます。

さて、「コアトル」と言う名前と「羽の生えた蛇」と言う特徴から、ピンと来る人もいるかもしれません。
そうです。アステカ神話に登場する、翼の生えた大蛇の神様「ケツァルコアトル」のことですね。

実はディズニーシーにはケツァルコアトルがかなり重要なエリアがあります。それがロストリバーデルタです。このエリアでは至る所でケツァルコアトルの像や壁画を確認することができます。

物語の中盤では次のようにはっきりと語られます。
「ケツァルコアトル、縮めてコアトルは、メキシコの深いジャングルから来ました。そしてシリキ・ウトゥンドゥのように呪いの力を持つと言われています。」

ネズミのロボット “ティンカー”

今作のヒロイン、ルーシーが造ったハイテクなネズミのロボットの名前が「Tinker(ティンカー)」です。

単純に「何でも屋」と言う意味の「Tinker」なのかもしれませんが、ピーターパンのティンカーベルを意識せずにはいられません。

ハイタワーコーポレーション

ハイタワーコーポレーションは、魔法や不思議な力を持つ工芸品などを必死に収集する組織です。その目的は、集めた魔法の力を利用してビジネスをより繁栄させることでした。

コアトルに取り憑かれてしまったシンジは、その力を狙うハイタワーコーポレーションに誘拐されてしまいます。

かつてハイタワー三世がニューヨークに高層ホテルを建てたように、ハイタワーコーポレーションもニューヨークに超高層ビルを構えています。具体的に何階建てなのかは述べられていないけど、かなり高いらしい。

ギデオンフロスト(ハイタワーの子孫)

ハイタワーコーポレーションの代表として登場したのが「ギデオンフロスト」です。

ハイタワー三世のことが大好き。めっちゃ尊敬してる。

「ギデオンフロスト」というのはおそらく本名ではないでしょうね。というのも、なんと彼はハイタワーの子孫なんです!
時代的にハイタワー五世ぐらいかな?知らんけど。

追記(2022/9/11)

ギデオンフロストはハイタワーの子孫ではなく、ギデオンフロストの奥さんがハイタワーの子孫だと考えるのが自然でしたね。コメントいただいたむーさんありがとうございました!

現代のS.E.A.とハイタワーの関係性

シンジとルーシーはハイタワーコーポレーションから脱出した後、ルーシーの提案でS.E.A.の本拠地へ向かうことになります。S.E.A.は現代でも秘密組織なのでシンジその名を聞いたことすらないようでしたが、ルーシーはギデオンフロストからその情報を得ていたようです。

ルーシーによると、S.E.A.とハイタワーの間には大きな確執があり、お互いに敵対視しているようです。

かつてハイタワー三世はS.E.A.のメンバーだったことは有名ですが、その後のS.E.A.はハイタワー三世を組織に引き入れたのを失敗だったと考えているようです。アウラニのアンティーズビーチハウスに飾られている手紙で、ハイタワー三世のことを「the Pillaging Prince(略奪王)」と呼んでいることからも、そのことが伺えます。

S.E.A.にとってハイタワー三世の件は今や完全に黒歴史扱いなんですね。

S.E.A.の本部がある場所が…

ルーシーいわく、S.E.A.の本部は世界中に複数あるらしく、例を挙げると

  • カリフォルニア(アナハイム)
  • 日本
  • イタリア

にあるらしい。イタリア以外はディズニーパークがある地域ですね!アナハイムとかそのまんま過ぎます。
この調子だと中国にもありそうですよね。

シンジたちはニューヨークから一番近いカリフォルニア(アナハイム)へ向かいます。

オリバー・オーシャン

カリフォルニアへ向かう途中でシンジたちを助けてくれたおじさん。この物語で一番最初に登場した現代のS.E.A.メンバーです。

暴力は嫌いと言いますが、一人でハイタワーコーポレーションの屈強な男たちを倒してみせました。

自称「パートタイム航海士。元海賊。多才な悪党。」
元海賊というのは本当のようで、彼の過去を知る他のS.E.A.メンバーからは薄〜く嫌われています。

「オーシャン」という姓でピンと来る人もいると思いますが、彼はメアリーオーシャニア船長の孫です。オーシャニア船長は20世紀ごろのS.E.A.主要メンバーでした。

祖母のことは尊敬していて、子供の頃は彼女のようになりたいと思っていたそうです。
ただ「オーシャニア」という名前は彼的にはいまいちダサいらしく、「オーシャン」と改名しています。
『オーシャンズ11』とかカッコ良いもんね。

ちなみに祖母のメアリーオーシャニア船長は相棒のオウム、ソルティ君をいつも引き連れていましたが、彼の場合は「金色のオウムが装飾された杖」を常に持ち歩いています。

ディスカバリー・トレーディングカンパニー

シンジたちはオリバーオーシャンに連れられて、「ディスカバリー・トレーディングカンパニー」というお店に入ります。実は同名のショップがWDWのアニマルキングダムに存在するんですね。

小説内ではこのお店がS.E.A.の集会場へ続く入り口になっていました。

店主の名前は「Molly(モリー)」。これは特に関係ないかな?

S.E.A.西海岸支部のメンバーたち

シンジたちが連れられたS.E.A.西海岸支部では、オリバーオーシャン以外にも4人のS.E.A.メンバーが登場します。西海岸はカリフォルニアのことですね。

  • 西海岸支部長のプリヤ・バナジー。インド人。ペットはクマのKali(カリ)。
  • ロベルト・カレロ・リーバス教授。メソアメリカ文化に精通している。
  • ゾーイ・キム。ドローンが好きなエンジニア。
  • マヤ・グリフィン。S.E.A.の中でも屈指の経験と技術を持つ探検家で、ビジネス方面でも才能を発揮している。

これらの4人は、過去キャラの子孫とかではなく完全に新キャラです。

みんな良いキャラなので、今後のパークにも彼らの関連プロップスが登場してくれたら面白いなと思います。
例えばマヤ・グリフィンの祖父母が登場したりとかしてね!勝手に楽しみにしておきます。

現代のS.E.A.の使命と、ホテルハイタワーのあの事件

現代のS.E.A.が何を目的として活動し、何を使命としているのか。それがプリヤの口から詳細に語られました。

要約すると、現代のS.E.A.の使命は次の2つに分けられます。

  • 世界中の文化や魔法の力を探究し、それを保存すること。
  • 過去のS.E.A.の行いを悔い改め、S.E.A.が集めた工芸品・美術品をあるべき場所に返すこと。

私たちがよく知る過去のS.E.A.の主要メンバーたちは、世界中を探検して得た工芸品や美術品を持ち帰り、自ら保有していました。
しかしそういった行いは、その土地の人々や文明に影響を与えてしまいます。それだけではなく、持ち帰った工芸・美術品そのものが問題を引き起こしてしまった例が何度もあったそうです。

例えば例として語られたのが、ヘンリーミスティック卿の邸宅で起こったあの事件です。

ミスティック卿が持ち帰った魔法のオルゴールが原因で、彼の邸宅中の美術品が動き出してしまったあの事件は、S.E.A.の大きな失敗の一つとして、現代のS.E.A.にもしっかりと語り継がれているんですね。

しかしそれ以上の悲劇として語られたのが、ハイタワー三世の大晦日のあの事件です。
以下小説のある一節の和訳です。

ハリソンハイタワー三世は、ハイタワーコーポレーションの創設者であり、かつて協会の代表的なメンバーでした。ハイタワー三世も当時のメンバーたちのように、世界中を探検し、財宝を手に入れたいという野望を持っていましたが、同時に世界中の工芸品や遺物も強く欲していました。欲しいものがお金でも買えなかったときは、他の手段(脅迫、賄賂、盗難)も迷わず実行しました。ハイタワー三世には富があり、傲慢で、お金があれば望むものは何でも手に入ると考えていました。彼は「文化を保存する」という考え方をバカにしており、工芸品自体もただじっと墓に閉じ込められているよりは、誰かに所有されて賞賛されることを望んでいる、と語っていました。
1899年、ハイタワーは、アフリカの遠征でシリキ・ウトゥンドゥという偶像を手に入れました。正確には、ムトゥンドゥ族から神聖な偶像を盗み、ニューヨークに逃げ帰ったのです。

1899年の大晦日に、ハイタワーは手に入れた偶像を自慢するために、彼のホテルで記者会見とパーティーを開きました。記者の一人が偶像の呪いの噂が本当かどうか尋ねると、ハイタワーは笑って彼を追い出しました。ハイタワーは呪いを信じず、記者たちの前で呪いをバカにする発言をしました。その後ハイタワーは執事にエレベーターで呼び止められ、偶像に敬意を示すように警告されたと言われています。しかしハイタワーは、エレベーターに乗り込む前にシリキ・ウトゥンドゥの頭に葉巻を押しつけました。
その後、彼を見た人はいません。

当時の目撃者によると、緑色の強い光と笑い声を聞き、ホテルハイタワーのエレベーターが最上階から急降下したそうです。これだけでも大変な事件ですが、一番奇妙なのはハイタワーの遺体が見つからなかったことです。噂によると、彼は今でもホテルに出没し、永遠に苦しめられているそうです。

(意訳)Shinji Takahashi and the Mark of the Coatl (The Society of Explorers and Adventurers), Julie Kagawa

まさかあの夜のことがここまで詳細に語られるとは…!

記者会見でのマンフレッドストラングとの絡み、スメルディングとの会話、目撃者の証言。タワーオブテラー好きの人なら絶対聞いたことがあるあの夜の話は、かつて公式の特設サイトに記載されていたものですが、今はあるサイトはクローズしてしまい見ることができません。それがこうして小説で改めて語られるとは、なんとも言えぬ感動があります。

そして気になるのが、「今でも彼はホテルに出没する」という噂です。ということは100年以上経った今でもホテルは取り壊されておらず、まだニューヨークのあの場所に建っているということです!ニューヨーク市保存協会はまだしっかりとあのホテルを保存してくれているんですかね。
そして100年以上シリキの遊び相手をし続けているハイタワーさんは流石に不便です。

とにかく、ハイタワーや他のメンバーのこういった過ちがあったからこそ、S.E.A.は工芸・美術品や魔法の力を自分勝手に利用し保有するのではなく、それらを保存することを使命としているのです。
そして、過去の過ちを正すために、過去に集められた工芸・美術品を正しい場所に戻そうと試みているのですね。

魔法が湧き出す場所 “フォント”

S.E.A.によると、世界中には魔法や不思議な力が湧き出す「font(フォント)」と呼ばれる場所があるそうです。
または魔法が宿る物体そのものをそう呼ぶこともあります。

例えばですけど、クリスタルスカルの魔球は間違いなくフォントに分類されるでしょうし、シリキ・ウトゥンドゥもフォントの一つだと思います。
アトラクションがある場所はだいたいフォント説。

フォントの上やその近くで建造物や施設を建てると、不思議なことが起こったり、ビジネスが繁栄したりするそうです。

そしてプリヤから衝撃の発言が語られます。

世界最大級のフォントの一つがアナハイムに存在します。彼がフォントの存在を認識していたかどうかはわかりませんが、1955年、ウォルト・ディズニーという男性がこのフォントの上に夢を築きました。

意訳)Shinji Takahashi and the Mark of the Coatl (The Society of Explorers and Adventurers), Julie Kagawa

え!?という感じですよね!???
S.E.A.の世界にウォルトディズニーと、ディズニーパークの概念が存在してるんですか!?しかし「夢を築いた」と言ってるだけなので、ディズニーパークとは限らないわけで…。
S.E.A.はディズニーパークで生み出されたのに、そのS.E.A.の世界の中にディズニーパークが存在するとしたらメタメタ過ぎませんか。

さらに、ハイタワーの富の正体は、フォントの力によるものだそうです。実はハイタワー三世は(意図的かどうかは分からないが)フォントの上にホテルハイタワーを建てていました。あれだけ呪いとかをバカにしていたハイタワー三世が、実は魔法の力の恩恵を受けていたとは、なんとも皮肉な話ですね。

そして現代のハイタワーコーポレーションはフォントの力を重要視し、意図的にフォントを探し求め、ビジネスを繁栄させているようです。

S.E.A.西海岸支部に飾られたプロップス

シンジたちはS.E.A.の支部で、さまざまな記念品や絵画を目にします。実はこの中にS.E.A.ファンなら「おっ」と思うようなもの飾られている、と思うのですが、ちょっとしかわからなかったので、わかる人いたら教えてください。

「滝の前でポーズをとった男と、カメラに手を伸ばすオラウータン」の絵画

滝といえばアルバートフォールズ博士!ですが、それっぽい絵画が探せませんでした。

これぐらいしか知らない↓


(c)blog-cdn.touringplans.com

他にあったかな?

「雪山の山頂に立って雲を見下ろしている女性」の絵画

これも分からないのですが、なんとなくカメリアファルコっぽい気がします!でも肝心の写真が見つからず…。
次パーク行った時に探してみよう。

普通に海外パークのプロップスの可能性が高いです。

“THE M.S. SALTY IV.” という船の車輪

これはメアリーオーシャニア船長が昔乗っていた船の名前ですね!WDWのミスアドベンチャーフォールズで実際の船を見ることができます。ボロボロですけどね。

黄ばんだ新聞 “The Daily Gnus”

これは分かりやすい!
去年、WDWのジャングルクルーズがリニューアルされるときに公開されたあの新聞ですね!

内容は過去の記事にまとめてます↓

スカーレット J. ブラウアーヒンメル

スカーレット J. ブラウアーヒンメルは、シンジたちをメキシコに連れて行ってくれた飛行士です。作中では特に語られていませんが、間違いなく、かつての飛行士のS.E.A.メンバー、「R. ブラウアーヒンメル教授」の子孫でしょうね。

S.E.A.メンバーお決まりのペットはいませんが、愛機には「Rhett(レット)」と名前をつけて可愛がっています。

個人的にはオリバー・オーシャンとの会話が面白かった。

おわりに

もう言いたいこと語り尽くしたのでここまでにしておきます!

とはいえ今紹介したのはせいぜい物語の中盤まで。最終的にシンジとS.E.A.がどうなっちゃうのかは、実際に読んでみるまでのお楽しみです。気になった方はぜひ買ってみてくださいね!

コメント

  1. むーさん より:

    コメント失礼いたします!ついに読めたのですねおめでとうございます!!ネタバレ感想を見ていて気になったのですが、ギデオンフロストがハイタワー三世の直系の子孫として書かれた文章どこにあったか教えていただくことは可能でしょうか。一応読んでは見たのですが彼はフォントの力を使えてなさそうで彼の子供と彼の妻にあたる人物に固執していたので妻の方が血を繋がってるのかなと思われたのですが。一応ハイタワー4世が1930年代にいたという話が香港ディズニーのハリウッドホテルに書いてあるので参考になると幸いです。翻訳読み間違いならすみません。あまり話せる人がいなくてどう解釈つけようかと思いコメントさせていただきました。返信してくださると幸いです。よろしくお願いします!

    • アクセルアクセル より:

      なるほど…!いや、むーたさんのおっしゃる通りだと思います。奥さんがハイタワーの方向はなぜか考えつきませんでしたが、そう考えるとめちゃくちゃしっくり来ますね!
      後で記事の方に追記させてください!
      コメントありがとうございます!

タイトルとURLをコピーしました